産業界とインバウンド

国内観光市場の規模は確かに大きいのですが、宿泊や交通、レジャー施設、土産物店、飲食店、旅行会社といった「お決まり」の事業者が、これまたお決まりの経営スタイルでことに臨んできたのがこれまででした。外国人の消費が増加したことで、新規参入もまた増えたのです。例えば、電化製品の量販店は、外国人旅行者向けのビジネスに活路を見出しています。その他、ドラッグストア、化粧品メーカー等も外国人旅行者の動向を研究し、彼らにターゲットを絞った販売戦略が次々に生み出されています。大型の新規投資も同様です。不動産開発事業者は日本人の国内旅行が頭打ちになって以降、投資に逡巡していましたが、ホテル建設に踏み出すことができるようになりました。宿泊事業者も長らく客室単価を上げられず、成長の見通しが描けませんでしたが、外国人旅行者の需要が後押しして、躊躇なく単価に触れられるようになりました。この流れはホテルに止まらず、日本文化の象徴の一つでもある旅館にまで及んでいます。もちろん旅行会社もインバウンド観光には熱い視線を送り始めています。

 新しいビジネス形態は、更なる広がりを見せています。前述した周遊パスや民泊サービスはその最たる例です。ランドオペレーターと呼ばれる業種も生まれて様々な体験型プログラムが組まれ、外国人旅行者も積極的に活用しています。カーナビゲーションは多言語に対応し始めていますし、飲食店や翻訳サービス、旅行保険等も活況を呈しています。今後も純増する外需に目を光らせる企業は次々に生まれるでしょうし、日本人の国内旅行閑散期を補完しようとする平準化は、この流れを加速させることでしょう。

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